8人が本棚に入れています
本棚に追加
柱の奥には壁しかない。
ここを曲がったのだから柱から姿を見せないなんて、変だな。
長く均等に並ぶイスに座る人たちを眺めながら、僕は電光掲示板が見えるさっきの場所まで戻った。
どこに消えたのだろうか。
ワンピース型というのか、足元まで長い丈のパジャマ姿。
黒髪で背中まで届いていた長い髪。
点滴はしてたかな。
靴、までは見えなかったな。
ふぅっと息を吐き、掲示板の番号を確認しようと顔を上げた時だった。
廊下の奥の方からさっきのパジャマ姿らしき人影が見えた。
えっ、なんで。
どうやって。
僕は薄目のまま下を向いて、その人影が通りすぎるのを待った。
"ズリズリ、ズリズリ"
またあの音が聞こえてきた。
最初のコメントを投稿しよう!