スリッパ

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柱の奥には壁しかない。 ここを曲がったのだから柱から姿を見せないなんて、変だな。 長く均等に並ぶイスに座る人たちを眺めながら、僕は電光掲示板が見えるさっきの場所まで戻った。 どこに消えたのだろうか。 ワンピース型というのか、足元まで長い丈のパジャマ姿。 黒髪で背中まで届いていた長い髪。 点滴はしてたかな。 靴、までは見えなかったな。 ふぅっと息を吐き、掲示板の番号を確認しようと顔を上げた時だった。 廊下の奥の方からさっきのパジャマ姿らしき人影が見えた。 えっ、なんで。 どうやって。 僕は薄目のまま下を向いて、その人影が通りすぎるのを待った。 "ズリズリ、ズリズリ" またあの音が聞こえてきた。
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