第1章

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咄嗟に腕を掴むココ、力任せに思いっきり引っ張った!弾みで倒れる二人 ああぁ… 信号は青、二人を避けるように歩く人達 ココの上に樹が…倒れる瞬間 ココの頭の下に手を添えた樹 「うっ!」 「すみません…重い…」女性の声に慌てて起き上がる樹 倒れている女性を起こす。 「すみません」そう言いながら散らばった原稿を慌てて拾うココ …風に飛んで行く原稿… 樹が急いで取りに行き彼女に渡す。 樹の手に血が…その手を見て急いでバッグからハンカチを出し素早く縛るココ 「すみません、ケガは?」と聞く樹 拾った原稿をバッグに入れるのに必死のココ。信号は青「大丈夫です。貴方こそお大事に…」 微笑み急いで渡って行く彼女の後ろ姿をボーッと見つめていた樹 「ハッ!」助けて貰ったのに、お礼も言わず…名前も聞いてない事に気付く。 電車、バスに乗り…会社までの時間を調べ帰宅 手に巻かれたハンカチを取る事なく…ハンカチを見るだけで…あの一瞬の出来事を思い出していた。 あの時、彼女がいなかったら…そう思うのに… 必死に彼女の顔を思い出そうとしても、おぼろげに浮かぶのは右目の眼帯…あっ、そうだ… あの時 チラッと見えた腕の傷 交わした言葉も少なくて…大丈夫です。お大事にと言った時の一瞬の微笑み… 可愛いかったなあ…眼帯がなければ もっと可愛い? 会いたい…もう一度 彼女に会って…お礼を言わなければ…
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