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逆タイムカプセル
卒業記念にタイムカプセルを埋めようー六年間学んだ小学校の校庭の桜の木の下に。
ーそんな、どこにでもありがちな、でも微笑ましい卒業記念のセレモニー。
ママやパパの時代には、既存の缶やタッパーに密閉してビニールで何重にもして埋めていた。長い年月の間に水が染みこんでせっかくの作文がダメになってしまった…あるいはいざ掘り出そうとして埋めた場所がわからなくなった、なんて残念なことも時々あったらしい。だけど今はそれ専用のちゃんとした密閉容器が売っていて、詳しい位置情報もデータで預けておけるとかなんとか。
「みんなが成人式の時、ここに集まってタイムカプセル開けようね?」
担任のオカザキ先生が私達に言った。
「でもさ八年後って、なんか早くね?」
と、わけわかんないことでボヤくのは、男子のリーダー格、コウキ。
「だよなあ。どうせなら100年後にしようぜ。」
「俺達の作文がお宝になってるかもしれないな!」
オカザキ先生が若くて美人だからか、男子は見栄を張ってすぐ話を大きくしたがる。
「ああもう、男子ってどうしてバカなの?100年後なんて、一体誰が掘り出すのよ?自分で見れなきゃ意味ないじゃん」
冷静に指摘したのは女子のリーダー、リリカだ。
「わっかんねーじゃん、一人くらい生きてっかも」
すぐにコウキがリリカにだけ反発するのは、実は好きだから…というのはみんなの公然の秘密だ。
「まあまあ、二人ともせっかく、同じ野球チーム入ってるんだから仲良くしようよ。」
癒し系の肝っ玉母さんキャラ、ナナミが言った。
「二十歳の時ってさ、みんな何してるかなあ?大学生とか?」
「コウキだけヤンキーだったりして」
「うっせーよ!俺はメジャーリーガーだっつってんだろが!」
みんな笑った。
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