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「でもどうせなら、みんなの結婚相手とか、子どもの顔とか見てみたいよね?」
「子ども連れてきて、一緒に掘ったりしたいよね?」
「サクラはどう?」
言われて私は悩んでしまった。成人式だけでもずいぶん先だと思うのに。
「そうねえ。今が2015年の3月だから…じゃ、キリのいいところで2050年はどうかな?今から35年後。みんなは47歳、先生は60歳。」
オカザキ先生が言った。
「えー、みんなオジサンオバサンじゃん」
「男子はみんなハゲてお腹出てるね」
「うっせーよ」
「つか、先生だけ、バアサンじゃね?」
「鬼校長」
「定年じゃん」
みんなケタケタ笑った。
「もう!歳は仕方ないでしょ!」
オカザキ先生が苦笑しながらスコップでさらに穴を深くした。カチン、と何かが当たった。
「あれ?何だろう…タイムカプセル?」
どうやらオカザキ先生は前の卒業生のタイムカプセルを掘り当ててしまったらしい。
「参ったなあ…。被らないように調べたはずなんだけど。他に場所探さなきゃ。埋め戻しておいて。」
オカザキ先生は校長先生に相談するため、学校の中に戻って行った。
残された私達はタイムカプセルをよく見てみた。何かちょっと変だ。板チョコくらいの大きさで、上に宛名が掘ってある。
「これ、リリカ宛だよ?」
「何でよ。同姓同名の他人じゃないの?」
「2015年卒業、って書いてある!絶対リリカだよ!」
「告白?ドッキリ?」
私達はオカザキ先生が戻ってこないうちに急いででタイムカプセルを取り出して穴を埋めた。中には手紙とメモリーカードらしきものと、ネックレスが。
リリカは声をあげた。
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