ねぇ、こっちむいて

先生...こっちを見て

白紙で出した答案のことを、先生はお母さんとお父さんに話したんだろう。

「あんた、白紙で出すなんてなにやってんの！」

先生が帰った後で、私はこっぴどく叱られた。
でも、先生は明後日私に追試をすると親に話して帰って行ったそうだ。

「いつも成績がいい彼女が白紙で出すなんて、きっと体調が良くなかったんじゃないかと...」

先生はそんなことを話していたらしい。

その日の体調はすこぶる快調で、ほかの教科はしっかり答案用紙に答えを書き込んでいるのに、それだけ体調が悪くてって...

先生、そんな事あるわけないってわかってるでしょ？

追試はちゃんと受けなさいって親に何度も言われて、私は追試を受けるために放課後、先生の待つ準備室に向かった。

「先生、私赤点でいいんだけど」

「いいから、ちゃんと受けて」

机の上に置かれた1枚のテスト用紙。
私はその机に向かって答えを書き込んでいく。

先生は何も言わずに近くのパイプ椅子に座って動かない。