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「先生、できました」
「ん...じゃあ帰っていいよ。明日点数書いて渡します」
相変わらず、私の方に顔すら向けない先生に、私は悲しいというよりも苛立ちをおぼえた。
「先生...話すときは人の目を見て話さないといけないんじゃないの?
嫌いでも...私の目を見てよ!」
勢いよく立ち上がったせいで、私が座っていた椅子が大きな音を立てて倒れた。
先生はびっくりした表情で、顔を上げて
「あっ...」
ほんの一瞬だけ、私の視線と先生の視線が交わった。
「先生、今...目が合いましたよ?」
「じゃあ、もう合わせません」
「なんで?」
「君はなんで僕と目を合わせることにこだわるんですか?
目が合わないからという理由で、白紙で出すのはどうかと思います」
「だって!...私は先生に見てもらいたい。
先生が...好きだから。
先生の瞳に、私が写りたいって思ってしまったから。」
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