君を見つめてはいけない

5/13
前へ
/46ページ
次へ
県外の大学に入学する際、僕は大学から少し離れたところで部屋を借りた。 そこは駅を降りたら目の前には少し寂れた商店街。そして、その奥にそびえるスーパーマーケット。 なんとなく、地元の雰囲気と似ているところが気に入って、大学に行くには少しだけ不便ではあったけれどこの街で暮らし始めた。 スーパーは遅くまで開いていたし、商店街の人はみんな暖かく、僕はその商店街を通り抜けて家に帰るのが、楽しいって思っていた。 休みの日は、隣町の図書館に行って、夕方は商店街で夕飯の食材を買って。 同郷の友人もいないこの土地で、人見知りな性格だった僕はなかなか友人もできず、平日は学校とバイト、休日は図書館という決まった生活を繰り返していた。 「今日は...何を食べようかな」 相変わらずな日曜日。 図書館からの帰り道、駅を降りた目の前には少し寂れた【おひさま商店街】の看板。 八百屋さんの威勢のいい声。 駄菓子屋さんで楽しそうに駄菓子を選ぶ子供たち。 そして...目の前からおいしそうにコロッケを頬張る中学生。
/46ページ

最初のコメントを投稿しよう!

34人が本棚に入れています
本棚に追加