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あんなにはっきりと、誰かに【嫌い】って言われたのは初めてじゃないだろうか。
幼い頃、友達と喧嘩して言われた【嫌い】とは違う。
先生の言葉がぐるぐると頭の中で何度も繰り返されて、胸が苦しくなる。
「葵(あおい)、どうしたの?ボーっとして。」
「えっ、ごめん、大丈夫」
ぼーっとしたまま家に帰った私は、そのままお店の手伝いをしようと部屋から降りてきた。
うちは【おひさま商店街】という小さな商店街でお肉屋をしている。
商店街の奥には大きなスーパーがあるから、商店街はなくなっちゃうって思っていたけれど、不思議なことに売り上げが落ちることなく、うまく共存している。っていったところだろうか。
「葵、コロッケ4つお願い」
「はぁい」
店の外には部活帰りの中学生が4人、ニコニコしながらお母さんにお金を支払っていた。
うちは注文が来てからコロッケを揚げて提供している。
中学の時から、夕方はコロッケを揚げるのは私が担当。
「はい、熱いから気を付けてね」
「あざーっす!」
中学生はアツアツのコロッケをおいしそうに食べながら歩いていく。
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