『罪と蜜』

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 昨日、確かに会社が休みになれば良いと思ったが、まさか本当にこんな事になるとは……。  いや。いやいや。こんなのはただの偶然だ。たまたま。そもそも思ったからといって、いちいち現実になるのだと解釈するなんて馬鹿げている。  とにかくこれからしばらくどうするか。取り敢えず休暇を満喫するため、手を通しかけていたワイシャツを脱ぎ、ラフな部屋着に着替えてテレビをつけた。  明日からどうするか。金がないから、気まぐれで買った宝くじでも「当たれば良い」なんて気分で調べてみるか。  後は……、何か嬉しい出逢いでもあれば万々歳だと思うのだけどな。  ふざけてそんな風に未来を描いていると、次々にそれが紛れもない事実となって、自分では何もしない間に、瞬く間に成功者への階段を駆け上がって行くのだったーー。
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