始まる前のエピローグ

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この十年間小中高と学校というものを通ってきたが、これを例えるなら軽い牢獄だと感じました。 毎回毎回。 皆違って皆いいと教えながら、何か尖った行動を取れば罰を与えてきます。 いや、まだそれはいいです。 問題は尖ったせいで他の刺にぶつかってしまうことです。 そのせいで、いじめが起こる可能性が大いにあります。 かといって教え通りに従うと、個性がないとか、そんなんじゃ世の中渡っていけないとか、面白味がないつまらないと自己の否定を行われて、独りきりになってしまいます。 どうすればいいんだよ。 と誰かが嘆くそんな学校生活を、走行中の車の窓ガラスに映る景色を眺めるのと同じ気持ちで通り過ぎるの待つつもりでした。 しかし本日僕の通う学校は、過去十年無い程のざわつきに溢れていました。 ー何があったの? ー屋上で誰かが飛び降り自殺したらしよ? ーえ、したの? ーごめん。まだだった。ほら、あれよあの子 学生達は校舎の屋上を指差しはしゃいでいました。 不謹慎にも程がありますが、まだ事は起きていないし、事が起きるとは思っていないし、なにより普通に通える彼等には関係がないので、しょうがありませんでした。 だけど僕はそんなわけにはいきません。 何故ならば、野次馬生徒とは違い当事者だったからです。 この瞬間、生徒達の楽観視とは裏腹に僕の体は屋上から宙に舞います。 死ぬ間際に走馬灯が流れるといいますが、そんな事を考えている間も無く、僕の体は十メートルくらい上から叩き付けられ、潰れたトマトに似た死を迎え入れてしまいました。
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