恋愛テスト高得点!

3/22
前へ
/289ページ
次へ
「200点も198点も変わんなくない?」 答案用紙を握りしめたまま固まったオレに、葵が言った。 「葵…。中学時代に言われてきただろう?その1点で運命を左右することがあるんだよ。…くそ、悔しい…!」 「確かにそうだけどー…。そんなに悔しがること?あ、涙」 ぽろりと頬に零れる雫を、甲で拭う。 「負けたくない…!」 「はいはい。総合得点じゃ友クンの方が上なんだから気にすることないわよ」 「餅山紗希じゃない…!レオだ!」 「うそ。紗希ちゃんに負けたのも悔しいくせに」 「…う゛」 図星なオレを見て、葵は「ほらね」とため息をついた。 だって、悔しいものは悔しいんだ。 オレだって頑張ったはずなのに…! 「ま、次に繋がる悔しさだよね。次頑張ればいいよ」 葵によしよしと頭を撫でられ、オレはうんともすんとも言わずに机にへばりついていた。 まぁ、テストのことはいいとしよう。 あの体育祭の日からずっと、葵が明言を避けていることがある。 オレは机に顎をつけたまま、葵を見据えた。 「んでさ。結局のところ、西とどうなったんだよ」 このことを聞くと、葵は絶対と言っていいほど話題を変えてくる。 「終わったことはもういいじゃない。それよりさ、テストも終わったことだし、夏休みの計画立てようよ」 この前からこればっかりだ。 「もう夏休みの計画はパンパンだよ。プールに海に、花火に祭りに、…同窓会だろ?」 赤石が帰って来て初めての夏。 同窓会とか大好きそうな赤石が企画した。 中学時代の同窓会をするという。 オレも葵も乗り気ではなかった。 中学時代の葵にはあまりいい思い出がなかったから。 それでも赤石は強引に誘った。 それから逃げられなかった。
/289ページ

最初のコメントを投稿しよう!

617人が本棚に入れています
本棚に追加