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テストが終わり、テストも全て返って来て、あとは夏休みを待つだけ、…になるはずだった。
だがしかし、恋愛期絶頂期になるらしいオレに、更なる試練がやってきた。
試練というよりは、恋愛にうつつを抜かしていたオレへの神様からの叱責か。
「………っ…!!」
広げた紙切れを見て、オレはプルプルと震えていた。
テストでの学年総合順位表。
1番は絶対アイツだろう。
じゃぁじゃぁ…!
何でオレが3番なんだ!?
誰だ!? オレとレオの間にいる奴は…!
「キャーッ!! すごーい!紗希ちゃんすごーい!」
「っ!」
それと同時に、再び近藤みかでの声が聞こえてきて、オレは瞳だけでそちらを見た。
(ま、まさか…!)
「学年で2番ってすごくない!? テスト、ほぼ満点だし!」
近藤みかでのその声を聞いて、そのまま卒倒してしまうかと思った。
くらりと血の気の引いた体を、どうにか持ちこたえる。
まさか、まさか…。
「うそー…。まさかの紗希ちゃんがライバル浮上?」
葵の何気ない言葉が、胸を突き刺した。
――ライバル浮上?
それはテストのことだけだよな?
ちらりと嫌な予感が脳裏をよぎった。
いやいやそんなはずはない!
ギュッと頭を振って、その考えを脳内から押し出した。
オレはいても立っても居られなくなって、席を立つ。
「西!」
大きく西の名を呼んで、空になっていた葵の席に腰かけた。
「オレにもその参考書、見せてくれ!」
西はびっくりしてオレを見据えた。
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