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昼休みも図書室で、西にくっついてレオの参考書を覗いていた。
それを少し離れた席に座った葵は、ハードカバーの書籍を手に、呆れた瞳で見つめている。
離れた席に座ったのは、西が原因だろう。
傍にいると落ち着かない。
葵は断固として、それを認めはしないけど。
「友クン…。テスト終わったばっかって分かってる?」
勉強の鬼になるオレに、葵が言う。
オレは数式から目を離さないで、葵に言った。
「だーから。八重子たちと遊んできていいってば。オレ、もう少しだけ勉強したいんだ。あ、ちょっと待って、今そこ見てる」
ページをめくろうとした西を制して、カリカリと筆を走らせた。
そんなオレに葵のため息が零れて落ちる。
「…分かった。じゃぁあたし、八重子ちゃん達のとこにいるから。…ほどほどにしなよ?その負けず嫌い」
葵は小さくそう言うと、図書室から出て行った。
そんな葵にさえ目もくれず、オレはシャーペンの頭で頭を掻いた。
どうもこの問題が分からねぇ。
「……おい」
ううーんと悩んでいると、真正面に座る西がこちらに視線を上げていた。
「んぁ?」
気のない返事で西を見る。
「何で槇小路も勉強してんの?」
「へ…?ま、まぁ、オレはあれだよ。打倒レオの精神は失くしてないから」
本当は餅山紗希に負けたことが悔しかった。
オレよりもレオに近い存在になったようで。
それにプラス、今までレオ以外の誰にだって負けたことはなかったのに。
「ふーん…?別に勝ってなくたっていいような気がするけど」
西は鼻を鳴らすと、またまた先へとページをめくろうとした。
「あっ!ちょっと待てよ!オレまだそのページ見てるんだって!」
と、言い終わって、とあることに気がついた。
「…ところで。西こそ何で勉強してんだ?」
オレの質問に、西の動きが止まった
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