一輪

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次の日は、しとしとと雨が降り続けていた。 校庭に咲く桜の木。 しとしとと降り続ける雨のせいで綺麗に咲いていた桜の花びらたちは舞うこともできずに、落とされていく。 『猫さん来てくれるかな?』 学校が終わり、いつもの場所に向かう中 そんなことを考えていた。 「猫さん・・・?」 あと少しで着くところで、道路の端にぽつんと黒いモノを見つけた。 私の足は見る見るうちに早くなって、持っていた傘を落とした。 痛々しい姿で眠っている猫さんを見つけたから。 「猫さん、起きて・・・起きてよ・・・。」 私は猫さんを抱き抱えたまま、暫くその場から動けなかった。 まるで変な人を見るように、過ぎ去っていく運転手たちが今は凄く忌まわしい。 「猫さん、今日も来てくれたんだね。 一緒に行こう。」 もう、喉を鳴らすことも、目を細めることも、動くこともしない猫さんを抱えたまま、私は歩き出した。 「痛かったでしょう? 今、お墓を作ってあげるからね。」 止まらない雨も、止まらない涙も気にすることなく、私は夢中で穴を掘った。 小さな穴にすっぽりと入ってしまった猫さん。 私は、土をかけることが出来ず、暫く動けないままでいた。 「・・・ッ。」 最期に頭を撫でる。 何度も撫でた、その頭を。 「おやすみなさい、猫さん。」 小さくお別れをして、私は土を戻した。 「1人にしないでよッ---。」 たった一人の友達だった。 小さな猫さん、でもあったかくて、愛らしくて。 (にゃあ~) 泣き過ぎたせいで頭が痛い、死んでしまった猫さんを想うと胸が、心が痛い。 遠のく意識の中、猫さんの鳴き声が聞こえた。
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