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「友達なんだけどねー、たまに……」
その後は続かなくて、「えへへ」と、誤魔化すように笑った。
「内山くん、いいのよ、ここで無理しなくて」
内山くんは、目を丸くして、動きを停止した。
「何のために保健室があると思ってるの?」
この部屋を、怪我人だけのためだなんて思わないでほしい。
「うんっ」
お、笑った。
「じゃあねー、聞いてもいい?」
「スリーサイズ以外ならね」
「興味ないっ」
即答。
この野郎。
「友達を好きになるのは、悪いこと?」
「何でよ。嫌いになりたいの?」
「……ううん」
内山くんはニコニコ笑って缶の中身を飲み干し、ジャンプするほどの勢いで椅子から立ち上がった。
「ありがと!ばいばいっ」
そして、出ていった。
私は、深く息を吐く。
何のため息だろう。
まだ開けていない缶のプルタブを、そっと窓の外に向けて開けた。
吹き出すこともなく、普通。
ふっきれた顔してたな。
もう、保健室には来ないかもしれない……。
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