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ふたりがいなくなって、私は気になる場所に目をやった。
相変わらず閉まったカーテン。
「内山くーん。どうしたの?もういなくなったわよ」
内山くんは人懐こいし、誰が来ても隠れるような子じゃないのに。
「あはは?かくれんぼ……」
誰と。
ひょっこりと、カーテンの隙間から覗かれた顔に、複雑な気持ちになる。
無理矢理聞くわけにもいかないけど……。
あのふたりはもしかして、内山くんが保健室に来るようになった理由だったりして。
憶測でものを言うのは好きじゃないから、心に閉じ込めることにした。
「そろそろチャイム鳴っちゃうよ。そこから出たら?」
「へあー?……うん」
何だ、その疑問符は。
根掘り葉掘り聞かれるかと予想していたのだろうか。
「言いたくなったら、いつでも聞くわよ」
「うんっ!先生、俺のことも癒してねっ」
内山くんはいきなり元気になって、手を振って保健室から出ていった。
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