3rd*先生のお気に入り。

16/22
前へ
/35ページ
次へ
「癒してね」。その言葉の通りというか、内山くんはしっかりと放課後にも訪れた。 中倉さんも帰ってしまったし、保健室にはふたりだけ。 「先生はどっちがいいー?」 「どっちも嫌」 内山くんの両手にひとつずつ持たれているのは、缶ジュース。 本来なら「気が利く」と言いたいところだけれど、どっちも炭酸。 「何で何でー?コーヒーとかが良かったの?」 「ていうか、振ったでしょ」 私は、炭酸ジュースの話のつもりで言ったのに、 「ひどーい。フラれたのは俺の方だもーんっ」 「へい?」 内山くんが上下にシャカシャカ振られてる様子を思い浮べて、変な声が出た。 いやいや、違う。 振られたって、そういう意味じゃなくて…… 「なるほど」 分かってしまった。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

169人が本棚に入れています
本棚に追加