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「癒してね」。その言葉の通りというか、内山くんはしっかりと放課後にも訪れた。
中倉さんも帰ってしまったし、保健室にはふたりだけ。
「先生はどっちがいいー?」
「どっちも嫌」
内山くんの両手にひとつずつ持たれているのは、缶ジュース。
本来なら「気が利く」と言いたいところだけれど、どっちも炭酸。
「何で何でー?コーヒーとかが良かったの?」
「ていうか、振ったでしょ」
私は、炭酸ジュースの話のつもりで言ったのに、
「ひどーい。フラれたのは俺の方だもーんっ」
「へい?」
内山くんが上下にシャカシャカ振られてる様子を思い浮べて、変な声が出た。
いやいや、違う。
振られたって、そういう意味じゃなくて……
「なるほど」
分かってしまった。
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