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その日は、休み時間に保健室には行かなかった。
教室で、授業よりも長く感じる数十分をひとりで堪えた。
そして、先生以外の誰とも喋らないで、放課後。
緋芽は帰ったかもしれないけど、どうしても気になったから、保健室に向かった。
「失礼しまーす……」
「おー、どうしたの、あやめちゃん」
「うん、ちょっと」
先生に歯切れ悪く答えつつ、保健室を見渡す。
ベッドは全て空いている。
見たところ、他に誰もいない。
いないんだ……。
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