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綿貫が立ち上がれないように左手で頭を押しつけて、右手で撫でる。
第三者から見れば、一体何の図に見えるのだろう。
「緋芽のこと好きになるなんて、偉い。褒めてあげる」
あたしの大事なあの子を好きになったあんたを好きになったことは、間違ってなかったって思う。
……うん、ややこしい。
綿貫は、諦めたように一笑した。
「宇佐見は頭おかしいけど、割といい女だ」
バカにしてんのか。
「つーかな、」
と、綿貫はあたしの左手をつかんだ。
「おおっ?」
女の、しかも利き手じゃない方の力なんて、どけるのは簡単。
あっさり立ち上がった。
パタパタと膝を払う姿が、ちょっと悔しい。
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