3rd*先生のお気に入り。 #2

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私はチョコクッキーの袋を空けて、机に広げた。 「どうぞ」 「わーいっ」 「いただきます」 内山くんと中倉さんがひとつずつ手に取った後、私も口に運ぶ。 クッキー2枚の間にサンドされたチョコが、暑さで少し溶けている。 「ねー、せんぱーいっ、今日は何ー?」 そろそろ来ると思った。 ひとりだけなのに、騒がしい声。 外側から窓を通じてここを覗くのは、ひとりの野球部員。久我くん。 「おいしいよ、チョコのクッキー」 中倉さんが、窓に向かってひとつ持っていった。 中倉さんは、久我くんの手に渡すつもりだったのに、 「俺の手、汚い。あーんってして」 「えっ」 まぁ、どうせ嘘だろう。 あいつ、前も同じような手使ったことあるな。 中倉さんは、私たちを気にしている。
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