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3rd*先生のお気に入り。 #2
「どうしたんですか?転んだんですか?」
ピンセットでつまんだコットンに、消毒液を染み込ませながら、怪我までの経緯を質問。
「はぁ……、生徒と100メートルの競争してて……」
日下先生は、その時のことを思い出すように、顔を赤くして後頭部を掻いた。
生徒と競争か。
日下先生って、24……だっけ?
生徒と年齢も近いし、友達みたいな気やすさがあるからかな。
「いいですねぇ。日下先生も、まだまだ若くて」
「いやいや、深沢先生だって、そんなに変わんないじゃないですか」
「何言ってるんですか」
そういうお世辞は慣れてる。
私は笑って、軽くかわした。
「いえ、本当に――」
「はい、終わりです。予備の絆創膏も持っとく?」
「え、あ、……どうも」
日下先生は、なぜかガッカリしたようにうなだれた。
その間、内山くんは何も口を挟まず、ただじーっと見ていた。
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