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目の前がだんだん陰ってきて、ピントが合わなくなるくらいに顔と顔が至近距離。
過去に一度、こんな行為をして真幸くんに風邪をうつしたことがある。
真幸くん自身は体調を崩すことに慣れていないからなのか、すごく重たい症状で……。
あの時のようなのを、また?
「ダメッ!ダメダメ!」
息をするのも辛そうだった姿を思い出し、全力で手を突きだした。
その手のひらは、真幸くんの唇に。
「むー。なんれれすかー、俺のちゅーきらいなおー?」
口が塞がれたせいか、舌ったらずっぽい喋りが手のひらのなかから聞こえる。
「ち、ちがう、好きだけど……、い、いやいや、好きとか嫌いとかじゃなくて」
「ほー、すきなんらー」
「そこじゃなくて!」
喋りづらそう。
離したほうが……、いやいや、まだ……。
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