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「まさかまた会うと思わなかったっす。姉さんはまた野球の本?」
「ううん、今日は小説が見たくて」
雑誌コーナーの長い椅子に座って、ふたりでこそこそ話。
「小説?」
沙柚ちゃんが、あたしの手の中を見る。
「わぉ。シトラスじゃないすかっ。うちもそれ探してたんっす」
「そうなの?」
さっき、「ねぇぞ」って言ってたのは、あたしが一足先に持っていってしまったこの本のこと?
人気だもんね。沙柚ちゃんは、借りていた誰かが返しに来るのを待ち望んでいたらしい。
何となく悪いことをした気持ちになる。
と、思ったら、沙柚ちゃんの目がキラキラと輝きだした。
「うち、姉さんとは運命を感じます」
……運命?
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