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「受験勉強に飽きたら、野球のフォームを見て萌えることにしてるんっす!」
野球のフォームに萌える……?
つまり、今その野球の本を探してたってことは、受験勉強に飽きてたってことなんだ。
本当に好きで野球のマネージャーをやってたなんて、素敵な理由。
東中のマネージャーだったってことは、真幸くんのことを知ってるんじゃないかな。
ん?あれ?でも……。
――『さゆ?知んない』
真幸くんのほうは、知らないって言ってたし。
名前の“沙柚”は、“さゆ”って読むんじゃなかったのかも。
「ねぇ、名前――」
名前を聞こうかと思ったら、
「いた!もー、さゆ!騒いでんの、絶対あんただと思ったし。勉強する気ないでしょ?」
彼女の友達らしき女の子が、眉をつりあげてやってきた。
「怒っちゃいやん。では姉さん、うちはこれで!」
仁王立ちで、手にはこぶしを作って、男らしくあいさつをくれた彼女は、友達と一緒に去っていった。
「あ、はい……」
“さゆ”ちゃんで、合ってるんだ。
あれ?
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