6th*secret love.-2 #2

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「それは中学の時の話。今は違うし」 「『ONE PIECE』は漫画ですからね。カバーだけ変えてごまかしても、中身は漫画ですからね」 「……今はしてない」 ふたりの会話を、ポカーンとして聞く。 沙柚ちゃんは、真幸くんを「天敵」と言いながら、詳しい……。 「返却ありがとうございました」 カウンターで受付をしているお姉さんに言われ、我に返る。 そうだ、あたしは本を返しに来たんだ。 「すいません、うち、それ次に借りたいんですけど」 次に、沙柚ちゃんが、返したばかりの文庫本を指差す。 「先輩、次何借りんの?」 「え、えーと、……どうしよう」 カウンターにいる沙柚ちゃんを置いて、真幸くんと一緒に適当な方向に歩いてみる。 あたしの表情は固まっていたんじゃないだろうか。 「どうしよう……」 それは、本棚に向けて言ったんじゃない。
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