114人が本棚に入れています
本棚に追加
「ねねね姉さん!うち大丈夫かな!?ケツちょー冷てぇ!」
沙柚ちゃんが、あたしの胸に飛び込んでくる。
その体は震えている。
「濡れちゃった?寒いよね」
「全然!怒りで燃えてます!」
……この震えって、怒りなの?
「あいつ、まださやって呼びやがる!どうなんですか!?姉さんだって、嫌がらせされたりしてるでしょ!?」
「嫌がらせ?そんな、別にない……よ?」
ついさっき「ほどよくいじめた」とか言われたけど、あれは嫌がらせではないし。
まず、あたし自身が嫌がらせだと思うどころか、喜ぶ始末だし。
「絶対嘘ですよ!あの無神経な性格なんだから、嫌いなところくらいあるはずです!誰にでもいい顔するとか、思ったこと何でも口に出すとか、そういうの!」
「……沙柚ちゃん?」
怒りに震えているというよりは、無理にでも自分の望む言葉を、あたしから引き出そうとしているかのよう。
最初のコメントを投稿しよう!