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「あっ、もしかして、うちが姉さんと先輩のこと、邪魔しようとしてるって思ってる?違うから、しないから!うち、姉さんのこと好きだもん!しないよ!?」
あたしが泣いている理由を勘違いした沙柚ちゃんが、慌てて身振り手振りで説明する。
本当にいい子だね、沙柚ちゃん。
あたしは、沙柚ちゃんの好きな人の彼女なのに。
あたしだったら、どうだろう……。
「違うよ。沙柚ちゃんは、そんなことしないでしょ」
「えへへっ。うおっ、雨?」
「えっ?あ、ほんと」
雨が降ってきて、あたしたちは急いで本屋に戻った。
中には入らず、入り口近くの屋根の下。
沙柚ちゃんは中に入ろうとしなかったし、あたしなんてまだ涙目だったし、雨やどりだけなら、ここで充分。
元々寒かったけど、雨を見たらもっと寒くなった。
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