114人が本棚に入れています
本棚に追加
「それからずっと、うちの名前さやだと思いやがってて!にゃー!」
沙柚ちゃんは、怒りに任せて、右足をダンッ!ダンッ!と地団駄。
「にゃー」って気合いは可愛いのに、やることがワイルド。
「あー……、ごめんなさい」
「う、うん……」
落ち着いた沙柚ちゃんは、「はぁ」と、ため息をついた。
「もうね、本当に嫌だったんです。だってさやえんどうだもん。うち、緑よりも白のが好きなのに」
……そっち?
「本当にね、すっごい嫌だったんだけど……」
沙柚ちゃんはうつむき、スカートの裾をギュッと握った。
「ちょっと嬉しかったの……。久我先輩があだ名で呼ぶ女の子って、うちだけだったから」
噛みしめるように言い、最後に「ごめんね、姉さん」と付け足した。
最初のコメントを投稿しよう!