6th*secret love.-2-2-2

6/24
前へ
/35ページ
次へ
「ううん……」 「何で謝るの?」って聞きたかったけど、答えが分かるから、それ以上続けるのはやめた。 あたしは、何を言うべきだったんだろう。 「告白しないの?」って、どうしても言えない。 あたしが、真幸くんを好きだから。 「久我先輩のこともね、本当は名前で呼びたかったんです。……呼べないの。なんか……用がないときも、いっぱい呼んじゃいそうだったから」 真幸くんが言ってた。自分のことだけ名字で呼ぶから、沙柚ちゃんに嫌われてるって。 逆だよ……。 「そんなことしてたらね、明日奈先輩にめっちゃ邪魔されるようになって。久我先輩に近づこうとすると、ネチネチネチネチ嫌がらせして下さりやがって。我慢できなくて……」 「沙柚ちゃん……」 何か言わなきゃって、名前を呼ぶけど、何も出ない。 「でも、ちょうどよかったんですよ。どうせ告るつもりなんか、一切なかったんで」 沙柚ちゃんは、フッと軽く笑い、 「姉さん、また泣きそうな顔ですね。大丈夫です。うちは、もう久我先輩を嫌いになるんです」 冬の寒さに身を震わせた。 「うお、めっちゃ寒!姉さん、中に入ろうぞ」 「うん……」 本屋の中に入って、沙柚ちゃんとはそこで別れた。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

114人が本棚に入れています
本棚に追加