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ふたりの間には、あたしが知ることのなかった思い出があって、それは沙柚ちゃんにとってはとても大切なもので……。
真幸くんにとっては、どんな存在なの?
聞きたい。
聞けない。
あたしたちは、想いあっているとは思う。
それでも、沙柚ちゃんのことをこんなに気にしてしまうのは、自分で思っているよりも自信がないからだ。
「――!?」
キキッ!と、急ブレーキをかけられ、驚き、悲鳴が声にならなかった。
考えごとをしている間に家まで送ってくれたのかと、周りの景色を見ると、そこは知らない家。
「……どこ?」
「ごめん、通り過ぎた」
あ、だからか。
真幸くんは自転車をUターンさせる。
真幸くんも考えごとをしていたのだろうか。
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