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「先輩、64巻出てなかったや。あれ、またさやいるし」
しまった。こんな時に、鉢合わせ。
「なんでまだ、さやって呼ぶの……」
それは、小さな涙声。
沙柚ちゃんは、拾った雑誌を真幸くんの胸にバン!と押しつけ、本屋の出口へ走っていった。
「あっ、さ、沙柚ちゃん……!」
キョトンとする真幸くんに、アイコンタクトで「沙柚ちゃんを追いかける」と伝え、あたしも出口へ。
自動ドアを抜けると、
「あああああー!」
「!?」
おたけびが聞こえ、その発生源は、ほんの2メートルほど先。
ツルツルの道路に足を滑らせた沙柚ちゃんが、しりもちをついている。
「沙柚ちゃん!大丈夫!?」
「やー!!やだやだー!受験生なのに、滑って転んだ!すすす滑ったー!」
思ったより元気そうで安心。
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