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その日から、朝だけじゃなく放課後も久我くんを見るようになって、想いだけが高まっていった。
何日も、何日も。
制服が夏服に変わっても。
見てるだけ。
「楽しい?野球部の練習」
「えっ……?」
放課後に保健室に行き、椅子に座って体温を計りながら窓の外を見ていると、先生に核心をつかれた。
「えっ、えっ!?なんで!?」
久我くんを見ていることは秘密にしていたのに、いつの間にかバレてた……?
「え?体温計鳴ったのに、まだ見てるから」
「あ……」
なんだ、それだけ……。
びっくりした。
っていうか、体温計鳴ってたんだ。
深沢先生は、「放課後なんだから、保健室に来るより帰る方がいいでしょ」とは言わない。
保健室通いになるような自分は嫌だけど、この場所が居心地いいのは先生のおかげ。
体温計を見る。
36度9分。
……微妙……。
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