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「えっ……?」
あたしは、先生を気にする。
真幸くんは、人前でも気にしない。
「味見。ほら、あーん」
唇にピタッと付けられ、口を開ける。
一口かじると、サクッと音を立てて割れた。
チーズの風味が、鼻から抜ける。
「うまい?」
「……おいしい」
確認したあと、真幸くんは迷うことなくあたしの食べかけをポイッと自分の口に入れた。
「うん。腹減ってると、何でもうまい」
真幸くんは、間接キスを平気でやる。
分かってたけど。
むしろ、付き合って何ヵ月も経つ今でも慣れないあたしが変なのかも……。
「そんじゃー、帰りまーす」
そう言って真幸くんが手を引くから、今度こそ保健室を出ることに。
「あっ、あっ、先生、ありがとう」
「はいよー、あんまり人前でラブるんじゃないわよー」
先生が、苦笑いで手を振った。
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