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「……おこってないよ」
ただ、ものすごい恥ずかしいというだけで。
顔を隠す手を取られる。
「っ!」
暗い視界に光が射す。
「ほんとに?」
心配するように、軽く細くなる目。
ハの字になる眉。
そんな目でまっすぐ見つめられたら、本当は怒ってたとしても、「怒ってる」なんて言えない。
それ、ズルいと思う。
なのに、嫌じゃないのは何でだろう。
「……うん」
あたしは深呼吸してから、髪の毛を手ぐしで整える。
「うん、大丈夫。早くここから出ないと、またふたりが戻ってきちゃう」
内山くんに知られたことは恥ずかしいけど、誰かに言いふらすような人ではないはずだし。
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