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「そ、そうじゃなくて……」
今、真幸くんの頭の中が見れたとしたら、あたしは倒れる自信がある。
「そうじゃないなら、そこにいる奴らに、見せてみる?」
真幸くんが、窓の外を指差す。
「やっ……!」
それを想像して、体が強ばる。
本気で言っているわけじゃないと信じているけど、でも……。
あたしは、どんな表情をしてたんだろう。
真幸くんが、目をパチパチ瞬かせて、あたし以上に体を強ばらせている。
「……ごめん。嘘です」
たまに敬語が出るのは、まだ癖が抜けていないからなのだろうか。
あたしたちは、そんなやり取りで、周りの音が聞こえていなかった。
「久我ー!」
「きゃあっ!」
突如聞こえた怒鳴り声とカーテンを開ける音、第三者の登場に、叫ぶ。
深沢先生が、カーテンをつかんでいて、後ろには、内山くんも。
タイミングが悪かった。
あたしは真幸くんに組み敷かれていて、しかも涙目。
「あんたねー!嫌がる女の子に何やったー!」
先生は本気で怒っている。
「せ、先生、違う……」
「保健室を何だと思ってんのよ」
あたしの釈明は、先生に届かない。
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