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「ち、違……っくて、眠り姫……」
「眠り姫?」
「ま、真幸くんに、眠り姫って呼ばれる夢……」
とっさに出たのは、嘘ではないけど正しくもない。
これだと、眠り姫って呼んでほしいみたいに聞こえる。
「ああー、それ」
真幸くんは、何か思い当たることがあるらしく、声を上げる。
「俺が、寝てる間に「眠り姫」って言ったから?」
「え……」
寝てる間っていうのは、さっきのこと?
目覚めた今では、もうほとんど忘れかけてしまった夢の内容を思い出そうと頑張る。
「……“眠り姫って、キスしたら目を覚ます”……?」
夢の中で“久我くん”が言ったのは、確かこんな言葉だったと思う。
すると、
「あれ、聞こえてた?それ」
「っんん……っ?」
真幸くんが、あたしのあごに手をかけて、唇を親指で押す。
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