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「違うの、なんか……、えーと、あたしが眠り姫だから!」
自分で言ってて、意味が分からない。
そのうえ、あれだけ嫌がっていたあだ名を、自ら名乗ってしまった。
「ねむ?……え?」
先生が明らかに困惑している。
内山くんは少し離れた場所で、隠すこともなくクスクス笑いながら、メロンオレにストローを刺した。
先生も内山くんを見て、またあたしに向き直る。
「なんでメロンオレ買いに行ったって知ってるの?」
実は起きてたからです……。
「う、内山くん、持ってるし……」
嘘をつく。
バレるかな。
先生は、
「そっか」
気づかないふりなのかはわからないけど、納得してくれた。
大きなため息をつく。
辛くて来たはずの保健室。
来る前より、今の方が疲労感が大きい気がする。
「さて。中倉さん、大丈夫?騒がしくしちゃってごめんね。寝てていいわよ」
「ううん、大丈夫です」
あたしは、ベッドの側に置いていた上履きを履く。
靴を履かないで立っていたらしい。
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