106人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
冬は、部活の時間が短い。
すぐに空が暗くなってしまうから。
「腹へったー。帰ろー、緋芽」
部活を終えた真幸くんが、保健室の扉を開けた。
「うん」
あたしは真幸くんに返事をして、
「先生、今日もありがとう」
先生にあいさつして、保健室を出ることにした。
内山くんは、すでに帰っているから、この場にいない。
「はいはーい。気を付けて帰ってね。久我くん、自転車ふたり乗りは?」
「楽しい」
「違う。誰が感想言えと言った。答えは、“道路交通法違反”です。本当に気を付けてよね。はい、これ」
先生は、真幸くんに手のひらサイズの四角い箱を投げた。
カロリーメイト?
お腹減ったって言ってたからかな。
「内山くんが置いてったやつだけどね。食べて」
真幸くんはさっそく箱を開けて、
「先生、たまに優しい」
先生にお礼……?を、言った。
「うるさいわよ、正直者」
「はい、あーん」
そして、すでに先生の話を聞くのをやめ、あたしの口に箱の中身をひとつ向けた。
最初のコメントを投稿しよう!