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上履きから履き替えて、外に出る。
「真っ暗……」
呟くと、一緒に白い息が目の前に浮かぶ。
夜の暗さに、雲が現れたみたいに。
ブルッと震える。
首もとがいつもより冷たい。
朝、マフラーをしてくるのを忘れてしまった。
「うわ、何でマフラーしてないの」
それを、真幸くんに即座に気づかれた。
「忘れてきちゃって……」
「ダメだなぁ。俺のあげる」
首に、フワッと柔らかなぬくもりが。
真幸くんのマフラー。
「あっ、そんな、ダメ。真幸くんが寒くなるでしょ……」
巻かれたばかりのマフラーをほどこうとしたら、
「いいから。体弱いんだから、風邪引かれると困る」
もっと強く巻き直された。
若干苦しい。
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