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あたしは、たまらず真幸くんから目を逸らす。
顔を見ていたら、どうしても唇に目がいってしまうから。
この時の真幸くんは、どんな表情をしていたんだろう。
あたしは目を逸らしたのに、頬をつかまれてまた強制的に戻された。
「眠り姫って呼ばれる夢だっけ?」
嫌な予感がする。
正面に見える顔、笑ってるから。
「……そう……だけど」
「何で、夢の俺は眠り姫って呼んだの?」
「え……」
何でって、それは……。
“眠り姫は、キスで目覚めるから”。
「あっ……」
言っちゃった、さっき。
これじゃ、夢でもキスしてたって、言ってるようなもの。
「本当は、どんな夢?」
「そ、それは……っ、や、待っ……!近い……」
近づくから、顔を伏せる。
それに意味なんてないのだけど。
「せ、先生が……」
「俺が来たときから、いなかった」
だから、さっきからカーテンの向こうが何も反応なかったんだ。
「ほら、言って。……何してほしい?」
「や、やだ……」
「何が嫌なんだよ」
「っ、……ん」
額と額が、こつんと当たる。
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