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それから、５分も経たない内に救急車が到着して、真幸くんを担架(たんか)で車の中に運ぶ。
付き添いは、深沢先生。
真幸くんの手が握ったまま離さなかったから、あたしも。
顧問の日下先生は、後ろから自分の車でついてくることに。
話の端々しか聞こえなかったけど、他にも誰かが日下先生の車に乗ってくるらしい。
そして、今。
あたしは病院の待合室で、うつむいて座っていることしか出来ない。
ずっと隣に深沢先生がついていてくれている。
座りもしないでそわそわしているのは、健太くん。友達だから、心配だよね……。
少し離れた場所で、黙っているのは、綿貫くんと明日奈さん。
「傷も浅いって言ってたでしょ？大丈夫よ」
救急車の中で、救急隊員の人が教えてくれたことを、深沢先生は繰り返す。
あたしはうなずく。
傷が浅いのに、目が覚めない。
どうして？
「今、久我のお兄さんと連絡ついた！すぐ仕事場から来るって」
ベランダで電話をしていた日下先生が、バタバタ走りながら戻ってくる。
そうだ、真幸くんのお父さんとお母さんは、旅行中なんだっけ。
だから、あたしを家に呼んでくれたんだもんね……。
今頃、病院にいるつもりじゃなかったのにな……。
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