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「ねーねー、俺って今日中に帰っていいの?」
真幸くんが、あたしに問いかける。
あたしも、そこまで話を聞いてない……。すぐに病室に来て、そのままここにいるから。
「どうなんだろ……。先生……」
先生が詳しく知っているかと思い、後ろを見る。
すると、
「失礼ー……、うお、めっちゃ増えてる」
お兄さんが戻ってきた。
「おー、起きたか真幸。健ちゃん久しぶりー」
名前を呼ばれた健太くんが、お兄さんに会釈する。
「弟のためにありがとうございます」
そして、深沢先生と綿貫くんに丁寧にあいさつ。
出会ったばかりの真幸くんもそうだったけど、案外礼儀正しい。
「兄ちゃん、仕事は?」
「お前のために中抜けしてやったんだろうが。サボれてラッキーとか、思ってねぇからな、ばかたれ」
「思ってんじゃん」
久我家の兄弟の会話、初めて聞いた。
「兄ちゃん」って呼んでるし。あたしにお兄さんの話をするときは、「兄貴」って言うのに。
こっちが素?
普段の家での姿を知るって、なんか嬉しい。
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