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涙が伝って、あごの下からどんどん大粒の滴が落ちる。
「なんで泣いてんの?やっぱりケガした?俺……、守れてない?」
「ううん、ううん」
あたしは、頭をぶんぶんと左右に振る。
まだ止まらない涙が、粒になって回りに散る。
守ってくれたよ。
あたしの分の傷を負ってまで。
「嬉しいだけ……。真幸くんが、ここにいるから……」
「変なのー。ずっと側にいたのに」
まだ眠いのか、真幸くんは目をこすって笑う。
きっと、あたしを助けた後から、目を覚ますまでの記憶がないのだろう。
「……そうだね。ずっと……側にいた」
いるよ、側に。
今も。これからも。
いいよね?
真幸くんは、最後に目を細めてにっこり笑い、また眠りに落ちていった。
「……真幸くん?」
返事はない。
「また寝ちゃったの?」
届くのは、規則正しい呼吸。
「……おやすみなさい」
布団から出ている真幸くんの片手をとって、布団に戻そうとしたら、逆にあたしの方が手をつかまれた。
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