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「あ、あれっ?」
繋がれた手をほどこうとしても、寝ている人の力だとは思えないほどに、力強い。
布団から出たままだと、こっちの手だけ冷たくなってしまうのに。
……あたしが両手で握って暖めていれば、大丈夫かも?
もう片方の手も、真幸くんの手にそっと添えてみる。
骨張っていて、ゴツゴツしている。
長い指。
形が整った、綺麗な爪。部活のまま来ちゃったから、砂が挟まっている。
人差し指で、手の甲をなぞると、
「んんー……」
眉を歪めて、不機嫌そうに身をよじられた。
不快だったかな……。やめよう。
手を気にするのはやめて、寝顔に目を移す。
寝ている時の方が、緊張しないで、いくらでも見られるから助かる。
左頬に砂がついているのを見つけた。
もう乾いている。
近づいて、頬をこすると、
「真幸ー。ケガ大丈夫か」
このタイミングで、3人目の来客。
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