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あたしは、ちょうど扉に背を向けていて。
そんな人が、ベッドに顔を近づけていたら……、どう見える?
「あ、やべ、お邪魔?」
……やっぱりそうなった。
あたしは急いで振り向いて、相手を確認。
そこにいるのは、見たことがない人。知らない人。
初対面なのに、他人みたいな気がしないのは、顔が真幸くんに似ているから。
紺色のスーツを身に付けていて、胸元のネクタイは緩み気味。
髪の毛は、綺麗な栗色。
真幸くんに似てはいるけど、大人っぽい。20歳くらい?
社会人になったら、真幸くんもこんな感じになるのかな。
見たい……。
この人は、多分、さっき日下先生が言っていた、真幸くんのお兄さん。
「こっ、こんにちは!あたし――」
立ち上がってあいさつをしようとしたけど、手をつかまれていたことを軽く忘れていた。
結局立てず、座ることに。
座ってあいさつって、失礼?
「こんにちは。俺、それの兄ちゃん」
真幸くんのお兄さんは、真幸くんを「それ」呼ばわりして、指を指す。
あたしのあいさつは、そんなに気にしてなさそう。
「緋芽ちゃん?だっけ?うざいなら、その手、引き剥がしてもいいよ」
「え!?しません!」
本気で答えたら、クスクス笑われてしまった。
あ、冗談……。
笑った顔まで似ていて、ドキっとする。
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