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先生が出ていった後に、あたしたちも保健室を出た。
1階の廊下を歩いているときに、
「ねーねー、ごめんってー。もうどさくさで覗かないから。今度からは、ちゃんと許し貰ってから覗くから」
……真幸くんは、あたしに何を謝っているのだろう。
っていうか、廊下に人いっぱいいる。
誰かに聞かれたら、すごく恥ずかしいんですけど……。
「そんな詳しく見えなかったし」
「真幸くん、怒ってないから大丈夫……。やめて……」
誰にも聞かれてなくても、恥ずかしい。
廊下を歩き進めていると、もう真幸くんの教室。
1年生は1階だから、着くのが早い。
「着いちゃった……。あたしも教室行くね」
名残惜しさを感じながら、たった今来たばかりの道を引き返そうとすると、
「待って」
真幸くんに手をつかまれた。
「え?」
「今日部活できないし、デートするでしょ?」
「っ……する!」
「ぷっ、声でかすぎ」
言われて、意味がないのに口を押さえる。
放課後のデート、楽しみにしてたから。
真幸くんと、街中を歩く。それだけ。
それだけのことだけど、憧れだった。
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