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「そんじゃ、帰りに」
「うんっ」
手を振ってくれたから、あたしも返す。
真幸くんに背を向けると、
「絆創膏バレないといいねー!」
「――!?」
声大きい!
またわざとだ。
「な……、なに言っ……」
ぷるぷる震えて、抗議しようとしたら、
「先生来ちゃうよ?」
にっと白い歯を見せて、笑顔を作った。
「ーーっ!」
いつも笑顔。
たまに意地悪。
やっぱり、なんか……勝てないんだろうなって思う。
きっと、この先も。
この後入った自分の教室で、あやめには絆創膏の下に隠した痕(あと)がバレてしまった。
「何されたの?」って、ニヤニヤと聞かれたけど、……無理。
絶対に、無理。
――こうして、冬が終わっていった。
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