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「久我くん、部活できないもんね。ふたりで、結構ゆっくりできたんじゃない?」
「ううん、全速力……」
「えっ!?走ったの!?」
「あっ!違う違う!」
しまった。変なことを口走るところだった。
そこで、脇に挟んだ体温計が鳴って、ちょうどよく話題の切り替え。
助かった。
「何度ある?」
取り出して、見ると、
「36.7℃……かな」
「平熱ね。よかった」
先生が、あたしから体温計を受け取り、救急箱にしまった。
グラウンドを見る。
頭の怪我のこともあるし、今日はグラウンド……来ないのかも。
早く治るといいな。
朝のホームルームが始まる前に、教室に戻らなきゃ。
そろそろ保健室から出ようかな。
そんなふうに思っていると、バタバタと忙(せわ)しない足音が聞こえてきて、それはどんどん保健室に近づいてくる。
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