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この靴音は、きっと……
「おっはよーございまーす!緋芽いるー?」
爆発音みたいな、扉を開ける音と共に飛び込んできたのは、真幸くん。
やっぱり……。
口角を上げて、ハッと気付く。
走る音で誰のものか聞き分けるとか……、あたし気持ち悪い人かも。
「おーい、久我。ドアは静かに開けなさい。壊したら、公共物破損罪ですからね」
先生は、注意のつもりでそんな脅しのような言葉を使ったようだけど、
「早口言葉っぽいですね」
通じなかった。
先生は右手で頭を抱え、
「久我くん、進級できるといいわね」
と、呟いた。
真幸くんは、分からなかった言葉に興味をなくしたらしく、あたしを見て、ただニコニコ笑っている。
頭に包帯を巻いている。
見た目はすごく痛そうなのに、本人の顔は元気そう。
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