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反撃するのを諦める。
勝てないの、知ってるし。
「……バンソコ、目立つ?」
そんなふうに、笑ってつんつん突かれると、気になる。
朝、鏡で確認したときは、そんなでもないと思ったんだけどな……。
「んー、もうちょい、こう……襟を上げれば、見えなくなるかも」
真幸くんが、あたしのセーラー服の襟を摘み上げる。
その時、左腕の袖からちらりと見えたのは、あたしがプレゼントした、腕時計。
使ってくれてる。
嬉しい……。
じーんと感動。
いいな、こういうの。
と、こんなふうに違うことを考えていると、
「ピンク?」
襟を摘んだついでに、見えてしまったらしい。
一気に血が顔に集まってきて、泣きたいくらいに恥ずかしくて、
「まっ……、真幸くん!」
叫ぶと同時に、チャイムが鳴った。
「あっ、職員室行かなくちゃー」
先生は動じることなく、のんびりと席を立った。
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